ニュージーランドでは、大人になってから大学や専門学校に入り直す人が珍しくありません。永住者や市民なら学費は留学生よりずっと安く、収入が少ない間は生活費の補助(Student Allowance)も受けられます。一方で、2026年には最終学年の学費が無料になる制度(Fees Free)が終わることも決まりました。
この記事では、ニュージーランドに住む永住者・市民が大学で学ぶときの学費、Fees Freeの終了、生活費の補助と学生ローン、社会人の入学方法をまとめました(2026年11月時点)。留学生として大学を目指す人はニュージーランドの大学留学ガイドをご覧ください。
永住者・市民は「国内学生」として学べる
ニュージーランドの市民と永住者(Resident VisaやPermanent Resident Visaを持つ人)は、大学では国内学生(domestic student)として扱われます。学費は国の補助を受けた金額になるため、留学生の数分の1です。
| 例:ヴィクトリア大学ウェリントン(人文・社会科学の学部、2026年) | 1年間(120ポイント)の学費 |
|---|---|
| 国内学生(市民・永住者) | 約NZ$6,940 |
| 留学生 | 約NZ$35,360 |
このほかに学生サービス料などがかかります。学費は大学や学部、年度によって変わるので、出願する大学の料金表で確認してください。
最終学年の学費無料(Fees Free)は2026年で終わる
ニュージーランドには、大学などの学費を国が負担するFees Freeという制度がありました。最初は「1年目が無料」で始まり、2025年からは「最終学年が無料」(上限NZ$12,000)に変わりました。
ところが政府は2026年の予算で、この制度をやめることを決めました。税務署(IRD)の案内では、次のとおりです。
- 2026年中に対象の課程を修了した人は、修了から12か月以内(2027年12月31日まで)にFees Freeを申請できます。
- 2027年以降に修了する人は、Fees Freeを受けられません。
つまり、2024年や2025年に3年制の学士課程に入り、「最後の1年は無料」と思っていた学生も、最終学年の学費を払うことになります。
入学したときは「最後の1年は無料」と聞いていたのに、入学した後から「やっぱり払ってください」と言われるのは、学生にとっては後出しのようで残念な変更です。これから進学する人は、学費の全額を払う前提で計画を立てておくと安心です。
生活費の補助(Student Allowance)
授業料とは別に、収入が少ない学生の生活費を国が補助するStudent Allowanceがあります。返す必要のない給付で、窓口は政府のStudyLinkです。2026年4月からの1週間あたりの最高額は次のとおりです。
| 学生の状況 | 税引き後(週) | 税引き前(週) |
|---|---|---|
| 24歳未満・親と同居 | NZ$286.35 | NZ$321.64 |
| 24歳未満・親と別に暮らす | NZ$333.38 | NZ$378.64 |
| 24歳以上・親と同居 | NZ$323.98 | NZ$367.25 |
| 24歳以上・親と別に暮らす | NZ$380.43 | NZ$435.67 |
パートナーがいる人や子どもがいる人は、別の金額になります。
24歳未満は親の収入で決まる
24歳未満の学生は、親の収入で金額が決まります。親の収入(税引き前)が週NZ$1,386.71(年に約NZ$72,000)以下なら満額を受け取れます。それより多いと少しずつ減り、親と別に暮らす学生の場合、親の収入が年に約NZ$141,000で0になります。
24歳以上は自分の収入で決まる:社会人も対象
24歳以上の学生は、親の収入は関係なく、自分(パートナーがいればパートナーとの合計)の収入で決まります。独身の学生の場合、アルバイトなどの収入(税引き前)が週NZ$284.70を超えると、超えた分だけ補助が減ります。
年齢の上限は65歳未満なので、社会人になってから学校に入り直す人も対象です。受け取れる期間には上限があり、40歳未満で始める人は通算200週、40歳以上で始める人は通算120週までです。
収入が少ない間は生活費の補助を受けられるので、何歳になっても学び直せるのは、ニュージーランドのとても良いところだと思います。実際、周りでも社会人になってから大学や専門学校に通う人が多く、補助が減らないようにアルバイトを減らして勉強に打ち込んでいる人もいます。
永住者が受け取るための条件
Student Allowanceを受け取れるのは、原則として次の人です。
- ニュージーランドの市民
- 居住ビザ(Resident VisaまたはPermanent Resident Visa)を3年以上持ち、ニュージーランドに3年以上住んでいる人
永住権を取ってすぐは対象にならないことがある点に注意しましょう。難民の人など、ほかの条件で認められる場合もあります。自分が対象かどうかはStudyLinkの居住条件のページで確認できます。
学生ローン:ニュージーランドに住んでいれば無利子
学費や生活費は、国の学生ローン(Student Loan)で借りることもできます。
- 学費:授業料を借りられます。
- 生活費:2026年は週NZ$333.48まで借りられます。Student Allowanceを受け取っている人は、その分だけ借りられる額が減ります。
- 利子:ニュージーランドに住んでいる間は利子がかかりません。海外に移ると利子がかかることがあります。
返済は、働き始めて収入が一定額を超えると、給料から天引きされる仕組みです。
社会人の入学方法:高校の資格がなくても入れる
ニュージーランドの大学は、日本の大学のような難しい入学試験がありません(医学など定員が決まっている学部は別に選考があります)。高校を卒業した人は、高校の成績や資格で入学できるかどうかが決まります。
高校の入学資格を持っていない大人のための入り口もあります。たとえばヴィクトリア大学ウェリントンのSpecial Admissionは、20歳以上の市民・永住者が対象で、履歴書と志望理由書などで審査されます。英語や数学のテストを受けるよう求められることもあります。ほかの大学にも同じような制度があるので、行きたい大学の入学案内で確認してください。
英語に自信がない人は、大学付属の英語コースや専門学校から始める方法もあります(ウェリントンの語学学校ガイド/IELTSのガイド)。
永住者・市民の大学進学のよくある質問
Q. 永住権を取ったばかりでも、国内学生の学費になりますか?
市民と永住者は国内学生として扱われます。ただし、生活費の補助(Student Allowance)は、居住ビザを3年以上持っていることなどが条件です。
Q. 子どもが高校を卒業したら、親の収入はどう関係しますか?
24歳未満の学生は、親の収入でStudent Allowanceの金額が決まります。親の収入が年に約NZ$72,000以下なら満額です。子どもの高校選びから考えている人は高校留学ガイドも参考にしてください。
Q. 働きながら大学に通えますか?
通えます。ただし、Student Allowanceを受け取っている場合、収入が週NZ$284.70(税引き前)を超えると補助が減ります。働く時間と勉強の時間のバランスを考えて計画しましょう。
まとめ
ニュージーランドの永住者・市民は、国内学生として留学生よりずっと安い学費で大学に通えます。最終学年の学費無料(Fees Free)は2026年に修了する人が最後になりましたが、収入が少ない間は生活費の補助(Student Allowance)を受けられ、学生ローンも国内に住んでいる間は無利子です。何歳になっても学び直せる環境が整っているので、移住してから新しい分野に挑戦するのもひとつの道です。永住権の制度そのものについてはニュージーランドの永住権の記事で解説しています。
※本記事の情報は2026年11月時点のものです。学費・補助の金額や条件は毎年変わるので、最新の情報は各大学とStudyLinkの公式サイトでご確認ください。
出典(2026年11月確認):IRD「Fees Free will finish at the end of 2026」、RNZ(Fees Freeの廃止)、Student Allowances Amendment Regulations 2026、StudyLinkのStudent Allowanceの金額、Work and Income(受給期間の上限)、StudyLink(学生ローンの生活費)、ヴィクトリア大学ウェリントン(国内学生の学費)、同(Special Admission)。
