ニュージーランドでは、花火を買えるのは1年のうち11月2日から5日までの4日間だけです。それ以外の時期は、お店で花火を売ることが法律で禁じられています。11月5日は「ガイ・フォークス・ナイト(Guy Fawkes Night)」と呼ばれる花火の日で、その直前の数日だけ花火が店に並びます。
この記事では、ニュージーランドの花火のルール、なぜ4日間しか売られないのか、そして2026年に大きな話題になっている「家庭用の花火を禁止するかどうか」の議論まで、ウェリントンに住む編集部がまとめました(2026年11月時点)。
ニュージーランドでは、ふだんは花火を買うことができません。お店に花火が並ぶのは、11月のはじめのこの数日だけです。日本の感覚からすると、ちょっと不思議なルールですよね。
ニュージーランドの花火のルール
| 項目 | ルール |
|---|---|
| 買える期間 | 毎年11月2日〜5日の4日間だけ(2026年は11月2日(月)〜5日(木)) |
| 買える人 | 18歳以上。年齢を確かめられることがあるので、身分証明書を持っていきましょう |
| スパークラー(棒状の手持ち花火) | 単品では売られず、ほかの花火と一緒のセットでしか買えません |
| 使える時期 | 国としての決まりはありません。ただし、使える場所は自治体のルールで決まっています |
| 一年中買えるもの | クリスマスクラッカーやパーティー用のクラッカーは、一年中売られています |
ルールを決めているのは環境保護庁(EPA)で、期間外に花火を売っている店があれば警察に連絡するよう案内しています。
どこで使ってもいいわけではない
花火を使える場所は、自治体ごとのルールで決まっています。たとえばウェリントン市では、ビーチや公園、保護区、運動場などの公共の場所で花火をすることはできません。自宅の敷地内ならできますが、周りの人に迷惑や不安をかけるような時間にやってはいけない、とされています。
また、空気が乾燥して火事の危険が高い時期には、消防(Fire and Emergency New Zealand)が花火を一時的に禁止することもあります。花火をする前に、住んでいる自治体と消防のサイトで確認しておくと安心です。
なぜ11月5日なのか:ガイ・フォークス・ナイト
11月5日のガイ・フォークス・ナイトは、イギリスから伝わった行事です。1605年、ガイ・フォークスたちがロンドンの国会議事堂を爆破して国王を暗殺しようとした「火薬陰謀事件」が失敗に終わったことにちなんでいます。19世紀にイギリスから移り住んだ人たちが、この習慣をニュージーランドに持ち込みました。
ただ、いまのニュージーランドでは、事件のことを知らずに「花火をする日」として楽しんでいる人も多いようです。
なぜ4日間しか売られないのか
ニュージーランドでも、昔はもっと長く花火が売られていました。1970年代からはガイ・フォークスの前の10日間に売ることができ、14歳から買うことができました。
しかし、花火によるけがや火事、物の被害が増えたことから、2000年代半ばのルール改正で売る期間が4日間に短くなり、買える年齢も18歳以上に引き上げられました。このとき、花火をすべて禁止することは見送られています。
いまも、花火による被害は毎年出ています。
- けが:2023年には、花火によるけがで、国の事故補償制度(ACC)に341件の新しい申請がありました。
- 火事:2023年に花火が原因で起きた火事は106件でした。消防が出動した花火がらみの件数は、2024年に166件で、2019年以降でいちばん多くなりました。
- 動物:動物愛護団体のSPCAによると、猫や犬の最大4分の3、馬の80%が花火の音を怖がります。驚いた犬がフェンスを越えたり、馬が道路に飛び出したりする被害が毎年のように報告されています。
大きなお店では、もう花火を売っていない
4日間の販売期間でも、花火を売るお店は減っています。大手の量販店The Warehouseは2021年に、花火の販売をやめると発表しました。お客さんへの調査で、半分以上の人が「家で花火をするより、花火大会を見に行きたい」と答えたことなどが理由です。2022年の報道では、The Warehouse、Kmart、大手スーパー(WoolworthsとFoodstuffs系)がどこも花火を売らないとされ、花火の専門業者が期間限定のお店を出して売っていました。
花火の輸入も大きく減っています。2026年9月までの1年間の花火の輸入額は約120万ドルで、前の年の約270万ドルから6割近く減りました。物価の高さに加えて、音や動物、火事、環境を気にする人が増えたことが理由とみられています。
2026年、家庭用の花火を禁止する議論
2026年は、家庭用の花火を禁止するかどうかが大きなニュースになっています。
- 4月:花火の禁止を求める3つの請願(あわせて約10万人が署名)を審査した国会の委員会が、一般向けの花火の販売と、家庭での使用を禁止するよう政府に勧めました。国会の委員会が花火の禁止を勧めたのは初めてです。
- 7月:政府はこの勧めを受け入れず、今のルールを続けると決めました。花火は「長く続いてきた、多くの人が楽しむ合法的な活動」で、今のルールは被害を防ぐことと個人の選ぶ自由とのバランスがとれている、という理由です。
- 10月:1Newsの世論調査では、一般向けの花火の販売の禁止に58%が賛成、31%が反対でした。
そして、ガイ・フォークスの2日後の11月7日は総選挙です。各党の考え方は分かれていて、New Zealand Firstは「新しい政府ができてから100日以内に家庭用の花火を禁止する」と約束し、緑の党も禁止に賛成しています。一方で、国民党のラクソン首相と労働党のヒプキンス党首は、テレビの討論会で禁止に「反対」と答えました。ACTは以前は反対でしたが、最近は「検討する」と話しています。
二大政党のトップがどちらも反対しているので、禁止が実現するかどうかは、選挙のあとの連立の話し合いしだいとみられています。もしかすると、2026年が「家で花火ができる最後の年」になるかもしれません。選挙がらみのニュースでは、永住権の見直しの議論も紹介しています。
花火大会を見に行くなら
環境保護庁は、いちばん安全なのは「プロの花火を見ること」だとしています。ガイ・フォークスのほか、ディワリ(ヒンドゥー教の光の祭り)や大晦日にも、各地で花火大会が開かれます。
ちなみにウェリントン市は、2017年に市の花火大会をガイ・フォークスからマタリキ(マオリの新年、6〜7月ごろ)に移すと決めました。その後、ウェリントンでは冬のマタリキの時期に花火が上がるようになりました。マタリキなどの祝日はニュージーランドの祝日カレンダーで紹介しています。
ニュージーランドの花火のよくある質問
Q. 旅行者でも花火を買えますか?
11月2日〜5日の間なら、18歳以上であれば買えます。年齢を確かめられることがあるので、パスポートなどの身分証明書を持っていきましょう。
Q. 11月5日を過ぎたら、花火をしてはいけないのですか?
国としての使う時期の決まりはありません。ただ、公共の場所での花火を禁止している自治体もあり、火事の危険が高い時期には消防が禁止することもあります。また、周りの人やペットへの配慮も大切です。
Q. 余った花火を日本に持って帰れますか?
花火は火薬類なので、飛行機の預け荷物にも機内持ち込みにも入れられません。使い切れなかった花火は、湿気のない場所に元の箱のまましまっておきましょう。処分したいときは、警察署に連絡すると方法を教えてもらえます(花火を警察署に持っていくのは避けてください)。
まとめ
ニュージーランドで花火が買えるのは、ガイ・フォークス・ナイトの前の11月2日〜5日の4日間だけです。けがや火事、動物への影響から少しずつルールが厳しくなり、2026年には家庭用の花火の禁止が国会でも議論されました。11月7日の総選挙の結果によっては、ルールがさらに変わるかもしれません。花火をするときは、場所のルールと周りへの配慮を忘れずに楽しんでください。
※本記事の情報は2026年11月時点のものです。ルールは変わることがあるので、最新の情報は環境保護庁(EPA)と各自治体の公式サイトでご確認ください。
出典(2026年11月確認):環境保護庁EPA(花火のルール)、ウェリントン市(花火と焚き火のルール)、RNZ(ルールの歴史と被害の数字、2025年)、1News(政府が禁止を見送り、2026年7月)、NewsWire(輸入額・世論調査・各党の考え、2026年11月)、NZ Herald(The Warehouseが販売をやめる、2021年)、ODT(花火を売る店が減る、2022年)、1News(ウェリントンの花火大会がマタリキへ、2017年)。
